養老渓谷の奥深く、静かな木立に包まれた旧道の先に、時代を越えて残されたひとつの異空間がある。「二重トンネル(正式名:共栄・向山トンネル)」は、その名の通り異なる時代に掘られたふたつの手掘りトンネルが、交差するように並び立っている。

ひとつは明治期に、もうひとつは昭和期に掘られたとされるこのトンネル群は、手掘りの岩肌がそのまま残された素掘り構造。昼間でも中は薄暗く現実から切り離されたような感覚を覚える。人工物でありながら自然の一部に溶け込んでいるようでもある。特にトンネルの向こうに差し込む一筋の光と、足元に反射する湿った石の質感が幻想的で美しい。

