飾る、暮らす、読む。

電子書籍がすっかり定着した今、製本された紙製の書籍は嗜好品へと姿を変えました。伝統的な実体のある本は今後長い時間をかけて、徐々に衰退の道を辿るでしょう。もしそうであるならば本を手軽に手にすることができる最後の世代の人間として、本を楽しんでみてはいかがでしょうか。

今回は、本を普段読まないような方に向けて、雑貨インテリアとして飾って楽しめるような本を紹介します。

シュルレアリスム ポップアップ

第一次世界大戦後にフランスの詩人アンドレ・ブルトンを中心として起こった、人間の意識では制御できない夢や無意識、偶然といった領域を表現しようと試みた芸術運動シュルレアリスム。シュルレアリスムの作品は現実と虚構が入り混じり、不気味で神秘的。そんな独特の世界観が本書の特徴であるポップアップブック(飛び出す絵本)と見事に融合されている。

本書ではシュルレアリスムを代表する巨匠の作品から、ルネ・マグリッド《貫かれた時間》やサルバドール・ダリ《ロブスター・テレフォン》など16の図版を収録。巻末には作品画像と詳細な解説が掲載されている。

一般的な単行本と近いサイズ感なので、本棚に立て掛けるだけでサマになる点も嬉しい。

パウル・クレー作品集 詩と絵画の庭

かのバウハウスで教鞭をとったことでも知られるパウル・クレー。現在では20世紀前半に活躍した最も重要な美術家のひとりとみなされ、その独創的な色彩感覚と画風により生前から高い評価を得ていた。日本国内での人気も高く、過去には大小問わず幾度も国内で展覧会が開催されている。

本書ではクレーの作品を6つの視点から捉えなおす。彼の世界観を満喫できる作品集だ。

スポメニック 旧ユーゴスラヴィアの巨大建造物

旧共産主義国家としてバルカン半島にかつて栄えたユーゴスラビア。この地に点在するスポメニックが本書の題材。スポメニックとは、第二次世界大戦中の占領を経験した人々が、その戦いを記憶し、勝利を祝うための記念碑(スポメニック)として建てられた独創的かつ衝撃的なモニュメント群だ。

およそこの世の建造物とは思えないほどに怖ろしく美しいコンクリート製のモノリス達だが、共産主義の後退によって放置または破壊され、作品が伝えるメッセージはコンクリートの劣化とともに退廃していく。そんな無常な姿に一層興味を掻き立てられる。

早世した作曲家の音楽を背景に、スポメニックを克明に映したSF映画も製作されている。

最後にして最初の人類

“20億年後の人類から語られるメッセージ”というテーマで進行する本作。かなりの映画好きでないと視聴は苦痛かもしれないが、本書籍と合わせてスポメニックの世界を映像で存分に楽しんでいただきたい。

映画公式サイト

プライムビデオで見る

エドワード・ホッパー作品集

20世紀のアメリカ芸術を代表する巨匠エドワード・ホッパー。フランス印象派に憧れ続け、西洋美術の本場であるヨーロッパへ3度挑んだが、画家としては評価されなかった。アメリカ人の感性でフランスのモチーフを描いたが、ナショナリズムが台頭するヨーロッパでは認められなかったのだ。

夢破れ、自身のスタイルをも見失った彼は、やがてグラント・ウッドと並び二代巨頭と称されるまでに成功する。

彼の作家としての苦悩の歴史を感じながら、独自のスタイルを確立して大成していく過程を、本書で作品とともに繙いていただきたい。

今回紹介した本のいずれかに興味を持っていただけたら幸いです。普段は置きっぱなしでよいですが、気が向いた時には手に取ってページをめくってみてください。本の世界との新たな出会いが待っているはずです。

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